現在販売されているランシューズ(ランニングシューズ)の中には、トライアスロン専用のシューズも販売されていますが、競技では専用のシューズを履かなければならないという決まりはありません。ただ、トライアスロンのランパートは、普通のマラソンとは異なり、スイムやバイクを行った後に履くということを踏まえたうえで、「ランシューズ(またはランニングシューズ)」を選ばなくてはなりません。また、レース中に靴下を履くか履かないかも、靴選びに影響してくる大きなポイントです。今回は、シューズを選ぶポイントや、トライアスロンレースにおすすめのランシューズ(ランニングシューズ)をランキング形式でご紹介したいと思います。ぜひ、参考にしてみてください。
トライアスロン競技で行う、スイム・バイク・ランのうち、ランパートは最後に行う種目です。そのため、ランパートは体力が消耗している状態で走り始めることになります。通常のマラソンとは異なり、同じ距離を走った後でも、トライアスロン競技の方が疲れを感じやすくなっているため、その分、体力が必要となってきます。
また、長時間自転車を漕いだ後なので、股関節がうまく動かせず、バイクからランに移ってしばらくは思うように走れないという状態が続くのも、通常のマラソンとは異なるポイントの一つです。スイム・バイク・ランの3種目はそれぞれ体の使い方が異なる競技ですので、それぞれ違う疲れ方をしますし、次の種目に移った直後に動きにくさを感じるのは、バイクからランへの切り替えに限ったことではありません。しかし、スイムからバイクの場合だと、スイムで使った腕や肩などはバイクパートで休ませることができますが、バイクからランの場合は、同じ股関節を使うため、種目を切り替えた直後からしばらくは下半身がうまく動かせない状態が続きます。これは、日々のトレーニングで慣れていくようにするのはもちろんですが、足のサポート力に優れたシューズを使用するのも、走りを安定させるための方法の一つになります。
トライアスロンのランパートで使用するランシューズ(ランニングシューズ)には、マラソンの時などに使用する通常のランシューズと、トライアスロン専用のランシューズがあります。通常のランシューズの場合は、軽量化を重視したものや衝撃吸収性を高めたものなど、走る距離や使用する目的などに応じてそれぞれ機能が分かれており、ラインナップが豊富にあるのが特徴です。そのため、出場する大会やランナーのレベルに合わせて、自分に合うモデルを選ぶことができるようになっています。いくつか揃えておけば、出場するレースに合わせて使い分けができるようにもなるでしょう。
また、トライアスロン専用ランシューズは、その名の通り、トライアスロン競技で使用することを目的として設計されたシューズです。シューレース(靴ひも)の部分がゴム紐やマジックテープになっており、ストレッチ性があって、バイクシューズ(サイクルシューズ)からの履き替えがスムーズにできるようになっています。また、特にスピードが重視されるスプリント・ディスタンスやショート・ディスタンスでは、靴下を履かないままシューズを履く選手も多く、トライアスロン専用ランニングシューズでは、素足で履いても痛みがでにくいようなつくりになっているのが特徴です。ただ、通常のランニングシューズのように、走る距離に応じて選べるようになっているわけではないため、スピード重視の方やプロの選手が使用することが多い傾向にあります。
トライアスロンでは、トライアスロン専用のランニングシューズを履いて競技に出場しなければならないという規則はありません。そのため、自分が使いやすいと思うランシューズを選ぶことが大切です。実際、トライアスロンレースでは、通常のランニングシューズを履いてランに挑む選手も多くおり、トライアスロン専用のシューズを履いている方はごくわずかということもあります。
次に、ランシューズ(ランニングシューズ)を選ぶおすすめのポイントについてご紹介させていただきます。
競技中(特に競技時間が長いもの)は足(脚)がむくみやすいことなどから、シューズは足にぴったりのサイズではなく、実際の足の大きさに1~1.5㎝プラスした、少し大きめのものを選ぶのがおすすめです。特に長時間のレースになると、裸足ではなく靴下を履いてからシューズを履きたいという選手もいるかもしれませんが、その場合は、足の状態だけでなく、靴下を履くことも想定してサイズを選ばなければなりません。
足のむくみ(浮腫)は、激しい運動により体内の水分が不足することで、血液がドロドロになったり、これ以上水分が減らないよう、ホルモンが尿量を抑えて、血管から皮膚の下に水分をため込んだりすることによって起こります。また、激しい運動で筋肉に乳酸が溜まり、血液循環がうまくいかなくなってしまったりすることもむくみが起きる原因の一つです。
競技中のむくみを予防するためには、レース中に電解質を含んだ水分をこまめに摂取するよう、毎日のトレーニングで水分補給の練習を心がけることも大切ですが、普段から、スイム・バイク後の足の状態がどうなっているのか把握しておくことも必要になります。
「トランジション」は、種目と種目の間のことを指しますが、トランジッションエリアでの準備の時間も競技時間に含まれてしまうことから、トランジションは〝第4の種目〟ともいわれています。着替えや道具の準備を、いかに短い時間で済ませ次の種目に移れるのかは、トライアスロン競技ならではの重要なポイントの一つです。トランジションタイムの短縮には、使用するウェアや道具のセッティングの工夫、着替えやすい・履きやすいウェアやシューズを選んでおくことが重要になります。
マジックテープタイプ(ベルクロタイプ)やゴム紐タイプは、シューズの留め具の部分がマジックテープやゴム紐になっていることで、着脱が容易にでき、締め付けの調整もしやすいのが特徴です。これにより、トランジションの時間を10秒ほど短縮することができ、最終的にはレースのタイムを縮めることにも繋がります。トライアスロン専用のランニングシューズの場合だと、履き替えのしやすさも重点に置いて設計されていますが、通常のランニングシューズの場合はトライアスロンで使用することを前提につくられているわけではないため、履き替えのしやすさもチェックしておきたい項目の一つになります。
トライアスロンレースで走る距離は、大会の種類によって異なります。
オリンピックで行われるトライアスロン競技の距離です。「スタンダード」とも言われており、オリンピック・ディスタンスの基準となるレースとなっています。そのため、国内や海外で開催されるトライアスロンの大会も、オリンピック・ディスタンス形式で行われるものが多い傾向にあります。レースの総距離が51.5kmであることから、「51.5」とも呼ばれています。競技時間は、大体、2~4時間ぐらいが標準になります。総距離51.5kmのうち、ランパートは10kmです。
ショート・ディスタンスは、1980年代、ロング・ディスタンス(アイアンマン)の4分の1の距離を国際基準として誕生し、シドニーオリンピックで採用されたレース形式です。オリンピック・ディスタンスとも言われます。
オリンピック・ディスタンスの半分の距離になります。距離が短い分、レースではスピードが重視される傾向にありますが、初心者の方も挑戦しやすい距離です。総距離はだいたい25.75kmで、そのうちランパートは5kmくらいになります。
このように、同じ種類のレースでも、開催される大会によって走る距離が異なり、総距離が長くなるほど、ランパートも必然的に走る距離が長くなっていきます。通常のランニングシューズの場合は、走る距離や使用目的などに合わせて選べるようになっているため、自分が出場する大会に最適なものを使用できるよう、各シューズの機能をしっかり確認してから選ぶようにするのがおすすめです。ただ、冒頭でもお伝えしたように、トライアスロンでのランパートは、疲労が蓄積された状態でスタートすることになるため、走る距離は短くても、実際に走る距離より少し長めの距離に対応したシューズを選ぶようにするのがポイントになります。
また、初心者の方の場合は、速さ(軽量化など)よりも、やわらかい素材のソールを使用したものなど、走行性能よりも履き心地を優先してシューズを選ぶようにするのがおすすめです。特にトライアスロン専用のシューズの場合は、初心者よりも経験豊富なトライアスリートの使用がおすすめなので、まずは、競技やランニングシューズに慣れることから始めるようにしましょう。
トライアスロンのランパートでは、水をかぶってしまう機会も多くありますが、速乾性のあるシューズを選ぶことで、走りが鈍くなるのを防ぐことができます。〝完全防水〟とまではいきませんが、シューズが水に濡れることによって走っている最中に不快な思いをしたり、靴が重くなったりしてしまうのを軽減することができるため、おすすめです。
画像引用元HP:楽天市場公式サイト
(https://item.rakuten.co.jp/supersportsxebio/106900670011/?iasid=07rpp_10095___dy-k02dlzbb-8rd-5d7fbe2f-cf19-4a15-9474-317c53199855)
熱がこもりやすい部分の通気性をピンポイントで強化し、履き口のヒール部分とシュータンをスリムにすることで、快適な履き心地でありながらシューズのかさばりを軽減。ハイスピードのランでも、ぴったりと足になじみます。また、衝撃吸収性に優れているため、あらゆる路面でトラクションを確保することが可能です。レディース用もあります。
画像引用元HP:楽天市場公式サイト
(https://item.rakuten.co.jp/yanosp-fineplay/150001w/)
Cloudflowは、アイアンマンの世界記録も打ち出したシューズです。アウトソールには、独立したクラウドパーツが18個搭載されており、軽量で反発力に優れ、ランナーを前へと押し出します。アッパーには、柔軟性が高く、通気性に優れたエンジニアードメッシュを採用。レースでスピードを重視したい方におすすめです。メンズ向けの製品もあります。
画像引用元HP:楽天市場公式サイト
(https://item.rakuten.co.jp/sksaitama/z-sh-makai/)
ZOOTは、アイアンマンの開催地でもあるハワイ島・コナで生まれた、トライアスリートのためのブランドです。日本人にも履きやすい標準的な足幅となっており、通気性抜群のメッシュアッパーと、ZOOT独自の高密度クッション採用のソールが、バイク種目で疲労が蓄積された足をしっかりサポートしてくれます。ゴム紐タイプで、素早い履き替えも可能に。スピードレースと標準レースの両方に対応しています。
画像引用元HP:楽天市場公式サイト
(https://item.rakuten.co.jp/golazo/m000719/)
アッパー部分は、オープンウェーブ・エアーメッシュを使用した完全シームレス仕様のため、優れた通気性に軽い履き心地となっています。さらに、NEWTON独自の新素材が、足裏全体へのクッション性と地面を蹴り上げる反発力をより高めてくれるため、軽量でありながら、力強い走りを実現してくれます。
画像引用元HP:楽天市場公式サイト
(https://item.rakuten.co.jp/sotoaso/hok-1102873ba-19ss/)
軽量性、クッション性、反発性に優れた人気ロードモデルです。HOKAONEONE独自のボリュームミッドソール構造に、柔軟性の高い前足部と快適なフィット感で、安定性のある滑らかな走りを実現します。メンズ用モデルもあります。
画像引用元HP:楽天市場公式サイト
(https://item.rakuten.co.jp/alpen/4303615019/)
アシックスの長距離向けランニングシューズ「GEL-KAYANO」シリーズ。フルマラソンなどの長距離走に対応したクッショニングシステムを搭載し、高い安定性とフィット感、優れた衝撃緩衝性で足や足の動きをしっかりサポートします。アッパーには通気性と軽さを両立したメッシュ素材を採用しており、長距離のトライアスロンレースにもおすすめです。
トライアスロン専用のシューズは、素足で履いても靴擦れしにくいような設計になっているのが特徴ですが、靴擦れを完全に防ぐことができるというわけではありません。また、通常のランニングシューズは、そもそも素足で履くことを前提に設計されているわけではないため、裸足で履くとさらに靴擦れしやすくなっています。そこで、靴擦れの予防として使用するのが〝ワセリン〟です。ワセリンを、足の甲やかかとなど、シューズの内側と接触しやすい部分に塗っておくと、靴擦れの予防に繋がります。
ワセリンの成分は油分ですので、スイムパートで水に濡れたり、バイクパートで足に汗をかいたりしてしまっても、簡単に落ちるわけではありません。そのため、レース前に塗り込んでおいても、安心して対策することができます。
ちなみにワセリンは、ランパートの靴擦れ対策だけではなく、スイム時のウェットスーツとの擦れを防いだり、バイクパートで着用するサイクルパンツとの股擦れを防いだりと、すべての種目に活用できる優れものです。トライアスリートにとっては揃えておきたい必需品の一つになります。
トライアスロン競技では、靴下を履かず、裸足でシューズを履いて走る選手も多くいるため、初心者の方は戸惑うかもしれませんが、これは、少しでもトランジションのタイムロスを減らすためであり、決して、競技で靴下を履いてはいけないという規則があるわけではありません。
素足でシューズを履くのは、確かにタイムの短縮にはなりますが、その分靴擦れするリスクも高く、最悪の場合、水ぶくれなどが起き、結果的にパフォーマンスが低下してしまうことに繋がります。せっかく時間短縮のために素足で履いても、靴擦れで思うように走ることができなければ、意味がありません。また、靴擦れしにくいように設計されたトライアスロン専用シューズは、競技に慣れてから使用するのが望ましいです。そのため、初心者の方の場合は、最初のうちは靴下を履いてレースに参加するのがおすすめです。素足でシューズを履くのは、日ごろのトレーニングで慣れておくようにするのが良いでしょう。
ランニングシューズのインソールを、別売りの機能性インソールに交換することで、足の痛みや疲労を軽減したり、ランニング効率を良くしてパフォーマンスを向上させたりするなどの効果を得ることができます。機能性インソールには、さまざまな形状のものや素材があり、自分が欲しい機能や使用する目的などに合わせて選べるようになっているのが特徴です。機能性インソールを選ぶ際は、足のサイズはもちろん、自分の足の形と相性の良いものを選ぶようにするのがポイント。自分の足裏のアーチの高さや形状は把握しておくようにしましょう。
自然が舞台のトライアスロンレースは、天候に左右されることも多く、天候不良で「スイム」が実施されないことがあります。そうすると、ラン+バイク+ランの組み合わせ(例:R:5km、B:30km、R:5km)による、「ディアスロン」というレース形式に変更になる場合があります。この時にランシューズが2足必要となるのです。もし、トレーニング用とレース用でランシューズを使い分けている場合には、トレーニング用のランシューズを先に使用するのが良いです。
ランシューズは、使用していくうちにクッション性能が段々衰えてくるため、見た目の汚れなどが目立たなくても、性能的には総距離500km走ったら買い替えるのがベストです。もちろん、走り方などは人によって違うので、シューズの交換時期も差が出てくるとは思いますが、交換時期の目安は500㎞を基準にするのが良いでしょう。そのため、走行距離は記録しておくのが望ましいです。記録には、アプリなどを利用するのがおすすめです。
今回はトライアスロン専用ランシューズをご紹介させていただきましたが、いかがでしたか?
大事なポイントは
ということです。
自分に最適なランニングシューズを選ぶことは、自分の走りにプラスになります。機能や履き替えやすさはもちろん大切ですが、特に初心者の方は、まずは履き心地が良いと思うものから使用してみてはいかがでしょうか。