言うまでもありませんが、トライアスロンは、常に危険と隣り合わせのスポーツです。
もちろん、すべてのトライアスリートには、トライアスロンが危険なスポーツであるとの認識があるでしょう。しかしながら、ともするとベテランになればなるほど、意識がタイムや順位にかたよってしまい、競技の危険性への認識が薄れがちになるかもしれません。触れたくはありませんが、トライアスロンの競技中・練習中での死亡事故は、後を絶ちません。
自分の体力や能力を過信せず、リスクを十分に認識したうえで練習・競技に参加するのが、トライアスロンの基本中の基本。そのうえで、万が一の事故に備えて保険にも加入しておくようにしましょう。
特にロードバイクの保険は、とても重要であることを認識しておいてください。
釈迦に説法かもしれませんが、改めてトライアスロンという競技の危険性を簡単に見てみましょう。
プールとは違い、自然のうねりのある(場合によっては不透明な)海の中を遠泳。泳いでいる間に、筋肉の麻痺や心臓発作などを起こすリスクがあります。過去、トライアスロンのスイム中の死亡事故は20例ほどあると言われています。
下り坂などでは最高時速が70kmに達することもあります。このスピードで転倒すれば、間違いなく大けがをすることでしょう。最悪の場合、死亡する恐れもあります。観衆を巻き込んでの事故になると、被害はさらにふくらみます。
スイムとバイクで疲労が蓄積した後にラン。炎天下などのレースでは、脱水や熱中症のリスクがあります。心臓に負担をかけてしまう恐れもあるでしょう。
以上がトライアスロンに関連する代表的なリスクですが、中でも特にバイクにおけるリスクには要注意。そもそもバイク用のヘルメットは、自動二輪車用のヘルメットに比べて脆弱です。その一方で、肌を多く露出した状態で高速道路並みのスピードで走行します。事故を起こしたときの被害は、尋常ではないでしょう。
加えて、スイムやランが他人に被害を及ぼすことはありませんが、バイクは他人に被害を及ぼす可能性がある競技。練習中に歩行者をはねてしまう恐れが、ないとも言えません。
過去には、自転車で他人をはねて意識不明のケガを負わせた事例において、9000万円の賠償が命じられた判例があります。万が一の損害賠償額等を考えれば、トライアスリートにとってロードバイク保険は加入必須の保険と考えるべきでしょう。
JTU(日本トライアスロン連合)の公式HPで紹介されている保険。商品名のとおり、スイム・バイク・ランのすべてにおける損害が補償対象となります。保険料は年額20,000円。多くのトライアスリートが加入しているようです。
補償内容 | |
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傷害死亡・後遺障害 | 104万円 |
傷害入院日額 | 7,000円 |
傷害通院日額 | 3,500円 |
個人賠償責任 | 1億円 |
バイクの全損や半損、盗難などの被害を補償対象とする保険。10万円以上で購入したバイクであれば、新車でも中古車でも加入が可能です。バイクの購入価格に応じ、保険料は月に数百円~。
補償内容 | |
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全損 | 購入金額の全額など |
半損 | 購入金額の全額など |
盗難 | 購入金額の半額など |
コープ(生活協同組合)の会員が加入できる自転車保険。保険料は年額5,140円と格安です。補償は家族に適用されるため、自転車に乗るお子様がいらっしゃる世帯には、特におすすめの保険。
補償内容(1型) | |
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傷害死亡・後遺障害 | 1125万円 |
傷害入院日額 | 2,000円 |
傷害通院日額 | 1,000円 |
個人賠償責任 | 1億円 |
日常生活で生じた賠償責任を全般的に補償する保険。自転車で他人に損害を与え、かつ損害賠償が生じた場合にも補償の対象となります。自動車保険や火災保険の特約で加入している世帯もあるので、重複加入しないよう注意しましょう。
補償内容 | |
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個人賠償 | 5000万円 |
三井住友カードの会員が加入できる自転車保険。補償内容や被保険者の範囲に応じ、保険料は月額580~5,520円となります。「自転車コース」とありますが、自転車以外でのケガも補償されます。
補償内容 | |
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傷害死亡・後遺障害 | 最高500万円 |
傷害入院日額 | 3,500円 |
傷害通院日額 | 1,750円 |
個人賠償責任 | 1億円 |
楽天カードの会員が加入できる追加補償プラン。月額500円の保険料で、入院保険や手術保険のほか、他人に被害を与えた際の賠償責任保険も付帯します。
補償内容 | |
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入院保険金日額 | 5,500円 |
手術保険金(最高) | 55,000円 |
賠償責任保険 | 1億円 |
以上、トライアスリートにおけるロードバイク保険の重要性、および代表的な保険の種類についてご紹介しました。
大半の方は生命保険に加入していると思われますので、自身の入院保険や死亡保険などに追加加入する必要はないかもれません。
よってトライアスリートが加入を検討すべきは、他人に被害を与えた際の個人賠償責任保険とバイクの損壊・盗難を補償する保険。すなわち、バイクに関連する保険には加入しておいたほうが良い、とトライアスリートは考えるべきでしょう。