自転車のメンテナンスや組み立てなどに使用するツールセット(アーレンキー)。走行中の突然のトラブルに対応するためにも、ツールセット(アーレンキー)はトライアスリートにとって必需品の一つになります。しかし、トライアスロン初心者の方は特に、どのツールセット(アーレンキー)を使えばよいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ツールセット(アーレンキー)についての説明や、おすすめの商品をランキング形式でご紹介しますので、悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ツールセットとは、自転車の修理や組み立て、メンテナンスに必要な工具(六角棒レンチ)セットのことです。六角棒レンチは、アメリカのウィリアムG.アレンが発明した工具であることから、アーレンキーとも呼ばれています。アーレンキーは、現在では「APEX TOOL GROUP」のブランドの商標となっています。
ツールセット(アーレンキー)は、競技でも練習でも必要となってくるため、トライアスリートにとっては、揃えなければならないアイテムの一つです。
六角棒レンチは、その名の通り、先端の断面が六角形になっている工具のことで、六角レンチ、六角棒スパナ、ヘキサゴンレンチ、ヘックスレンチとも呼ばれています。六角棒レンチは、六角形の穴を持つ六角穴付きボルト(キャップボルト)や六角穴付き止めネジを締めたり緩めたりするためのツールで、自転車だけでなく、家具の組み立てや機械設備などにも利用されています。六角棒レンチは、ボルトの穴に差し込んだ時の接触面積が大きく、プラスドライバーやマイナスドライバーと違ってぴったりはめられることから、回した際にボルトが損傷しにくいといった特徴があります。
ツールセット(アーレンキー)は、形状によっていくつかの種類に分けることができます。主なタイプは、以下の通りです。
L字型は、締め方の使い分けができるのが特徴の六角棒レンチです。アーレンキーは、このL字型の六角棒レンチのことを指して呼ぶことが多い傾向にあります。ボルトをしっかり固定したい場合には、力を入れやすくするために長い方を持ち手にし、カーボンパーツのボルトの締め付けなど、あえて強い力で締めない場合には、短い方を持ち手にしてボルトを回すようにします。
L字型の六角棒レンチは、複数のサイズがセットになって販売されているものが多く、さまざまな大きさのボルトに対応することが可能です。主に、自宅でのメンテナンスで使用されます。
T型タイプの六角棒レンチは、持ち手部分の中心にレンチがあるため、力をかけやすく、早回しできるという特徴があります。作業スピードを重視する、熟練者向けの六角棒レンチになります。
ドライバーのようにグリップが付いた六角棒レンチです。アーレンキーはL字型の六角棒レンチのことを指して呼ぶことが多く、ドライバータイプはあまり呼ばれることがありません。
先端を交換することにより、六角型以外にもプラスやマイナスといったさまざまな種類のネジに対応することができます。ネジの場所によっては、L字型の六角棒レンチよりも素早く回すことが可能です。
折りたたみタイプ(携帯用)は、複数のサイズの六角棒レンチが一体化・小型化したもので、コンパクトで持ち運びに適しているのが特徴です。ボルトの早回しには向いていませんが、出先での自転車のちょっとした調整や突然のアクシデントに備えることができます。
各タイプにそれぞれの良さがあるツールセット(アーレンキー)ですが、携帯性に優れた「折りたたみタイプ(携帯用)」は、トライアスロンに挑戦するうえで、レース中もトレーニング中も常に装備しておきたいアイテムの一つになります。ただ、「折りたたみタイプ(携帯用)」は、持ち運びのしやすさを重視して必要最低限のツールしか揃っていないため、「携帯用」のツールセット(アーレンキー)の他に、自転車の本格的なメンテナンスを行う際に使用する、自宅に置いておく用のツールセット(アーレンキー)も準備しておく必要があります。
基本的に、L字型六角棒レンチのセットは、1.5mm~10mmまでの太さが揃っており、さまざまな大きさのボルトに対応することができます。L字型六角棒レンチのセットは、使い勝手が良く、コスパも高いため、初心者の方が使用するのもおすすめです。ただし、製品によって一部のサイズがセットに含まれていない場合もあるため、どのサイズのものが含まれているかなどは、購入前に必ず確認するようにしましょう。
ツールセット(アーレンキー)はサイズが幅広くあり、また、製造している国によって規格が異なるため、ボルトのネジ穴に合わせて製品を選ぶ必要があります。
バイク(自転車)では、4~6mmサイズの六角棒レンチがよく使用されていますが、2mm~10mmのセットを揃えておくとかなり安心です。
また、六角棒レンチの主な規格には、
などがあります。
日本で製造されている六角棒レンチは、基本的にミリ(mm)規格となりますが、アメリカなど海外で製品されている商品に関しては、インチ(inch)規格が多い傾向にあります。せっかく購入したのに工具が使えないということにならないためにも、「ミリ」と「インチ」は間違えないようにし、ボルトのサイズにあった物を選べるようにしておきましょう。
L字型六角レンチのツールセット(アーレンキー)には、サイズごとで色分けされているものもあります。色分けがされていると、カラフルなデザインで見た目が良いのはもちろん、六角棒レンチのカラーだけでサイズが判断できるようになり、作業をよりスムーズに行うことができます。
ただし、表面から塗装してあるものは、使用していくうちにだんだん剥がれてくる可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。
ツールセット(アーレンキー)に使用されている素材は、主に、クロム・バナジウム鋼やクロムモリブデン鋼などがあり、全体を熱処理し、表面を強制的に酸化させることで、錆びにくくしたり、硬質クロムメッキで表面を加工することで、硬度を高めたりするなどの処理がされているものがあります。
六角レンチは、主に、「メッキタイプ」と「黒染めタイプ」の2種類があります。
「メッキタイプ」の六角レンチは、高い耐久性を持ち、変形しにくく、比較的購入しやすい価格のものが多いという特徴があります。ただし、使用中に表面のコーティングが剥がれてしまうことも稀にあり、万が一剥がれてしまうと、ネジをなめやすくなる原因になるため、新しいものに変える必要があります。
「黒染めタイプ」の六角レンチは厚みがほぼ均一で高精度なのが特徴。使っていくうちに手で握っている部分の黒染めが落ちてきてしまうこともありますが、「メッキタイプ」のように、コーティングが剥がれてしまうという心配がありません。ただし錆びやすいため、使用後にオイルを塗って保管しておくのが良いでしょう。
L字型六角レンチには、ロングタイプとショートタイプ、先端にボールポイントが付いたタイプと何もついてないタイプにそれぞれ分けることができます。
L字型六角レンチは、長いものほど力を入れやすくなりますが、6mm以下のサイズを使用する場合は、ロングタイプだと周りにぶつかりやすく、小回りが利かないため、細かい作業がしづらいといったデメリットが出てきます。
その反面、ショートタイプは細かい作業がしやすく、収納しやすいといったメリットがありますが、ロングタイプとは違って力が入れにくく、特に5mm、6mm以上のサイズになると作業に時間がかかる場合があります。最終的には自分が使いやすいと思うものを選ぶのが一番ですが、工具に慣れてきたら、セットではなく、一本ずつ購入して、色んなメーカーの製品を試してみるのも良いかもしれません。
また、L字型六角レンチには、先端が丸くボールのような形状になっている「ボールポイントつき六角レンチ」と、何もない通常の六角レンチがあります。通常の六角レンチの場合は、ボルトに対してツールを垂直に差し込まなければなりません。しかし、「ボールポイントつき六角レンチ」の場合は、L字型六角レンチの長い方の柄の先端が玉のように丸くなっているため、ボルトに対して斜めに差し込むことができ、ボルトをさまざまな角度から回すことができるようになります。
ただし、「ボールポイントつき六角レンチ」はボールポイントの部分にくびれがあるため、強度が低く、ボルトを締め付けたり緩めたりする際に強い力をかけてしまうと、壊れてしまう可能性もあります。また、ななめから差し込むことができる分、ボルトやネジがなめやすくなるリスクが高くなります。
ツールセット(アーレンキー)を選ぶといっても、セット内容によっては、サイズが異なるアーレンキー(六角レンチ)のみが複数揃ったものや、その他の工具が含まれているものもあるため、どれを優先で選べば良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
最初にお伝えしたように、競技会場でのバイク組み立て時や、ボトルケージ設置等に欠かせないのは、アーレンキー(六角レンチ)です。そのため、アーレンキー(六角レンチ)以外で、プラスアルファの工具付きのツールセット(アーレンキー)を選ぶのであれば、一般的には、プラスドライバーが付いているものなどが良いでしょう。
多くの工具が一つのツールセット(アーレンキー)に揃っていれば、使いやすくはなりますが、その分、ツールセット(アーレンキー)のサイズが大きくなってしまった場合、結果的にサドルバックに入らず、携帯用としての意味を持たなくなってしまうことにもなりかねません。
ツールセット(アーレンキー)を選ぶ際には、欲張ることなく、自分で使用する工具の優先順位を考えたうえで、工具を選ぶようにしましょう。
重量 | 105g |
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価格 | 1,255円 |
サイズ | 15×9×1.5cm |
セット内容: 0.050、1/16、5/64、3/32、7/64、1/8、9/64、5/32、3/16" inch
「BONDHUS(ボンダス)」は、世界の六角工具市場で半分以上のシェアを誇る六角工具メーカーです。グリップを180 度回転させることができるため、近くに障害物があっても、レンチをボルトから抜かずに作業を続けることができます。グリップ部は特殊強化プラスチック(FRP)を使用しており、軽量でありながら、鋼鉄製に比べ40%以上もの強度を誇ります。
重量 | 127g |
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価格 | 1,132円 |
サイズ | L72x W32x H24mm |
セット内容: 2、2.5、3、4、5、6mm
他のツールセットにはなかなかない、木製ボディのミニツールです。手触りが良く、見た目も高級感があるため、おしゃれなツールセットを携帯したい方にもおすすめです。六角レンチの他にプラスドライバーやマイナスドライバーも含まれ、小さいサイズですが必要最低限の機能が揃っています。
重量 | 458g |
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価格 | 2,200円 |
サイズ | 幅:112× 高さ:20× 奥行き:291mm |
セット内容: 1.5・2・2.5・3・4・5・6・8・10mm
「SK11(エスケー11)」は、DIY ツール専門商社「藤原産業」のオリジナルブランド。ツールはカラーリングで色分けしているため、サイズの認識が容易です。ボールポイント形状により、狭い物や障害物のある場所でも、斜めから挿入することができます。表面はクロームメッキによる処理で、耐摩耗性・耐食性に優れており、錆びにくくなっています。
重量 | 1 |
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価格 | 4,430円 |
サイズ | ー |
セット内容: 1.5、2、2.5、3、4、5、6、8、10mm
「Wera(ヴェラ)」は、ドライバー専業のドイツのメーカーです。Hex-Plus と呼ばれる独自の面接触構造により、ノッチング効果を軽減し、ねじ穴の変形を軽減させることで、ねじの長寿命化に貢献します。高いトルク伝達率で作業効率もアップ。本体自体に色があるため、使っていくうちに塗装が剥がれるといった心配はありません。
重量 | 130g |
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価格 | 1,864円 |
サイズ | 約186×70×12mm |
セット内容: 1.5、2、2.5、3、4、5、6mm
力を入れやすい、ロングタイプの7本組ツールセットです。素材には厳選された特殊合金鋼を使用しており、表面は耐食・耐磨耗性に優れたハードクロムメッキで仕上げています。最大20 度傾けての使用が可能。高精度でありながら、お求めやすい価格で、コストパフォーマンスにも優れています。
重量 | 73g |
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価格 | 1,522円 |
サイズ | L66×W28×H18mm |
セット内容: 2、3、4、5、6mm
必要最低限のツールだけを揃えた、6機能ミニツールです。携帯用でありながら非常に使い勝手が良く、外出中や競技中の調整やトラブルも充分対応できます。また、力を入れやすいよう、アルミ合金ボディが長めにつくられています。
重量 | 420g |
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価格 | 2,082円 |
サイズ | ー |
セット内容: 1.5、2、2.5、3、4、5、6、8、10
日本の総合工具のトップメーカー、「京都機械工具(KTC)」の六角棒レンチセット。耐久性や精度に優れており、品質も国内トップクラスです。最大で約25度の斜め回転作業が可能で、狭く、奥深い箇所にあるネジの締緩作業も容易にできます。
・ボルトを締めたりゆるめたりする場合は、L字型の短い方をボルトに差し込み、長い方を持ち手にして回すようにします。力が入れやすくなるため、ボルトをきつく締めたり、硬く固定されたボルトを緩めたりすることができます。反対に、長い方をボルトに差し込んで短い方を持ち手にすると、ボルトをドライバーのようにクルクルと回転させることができるようになります。
・ボルトやネジの頭がつぶれてしまうことを、「なめる」といいます。ボルトやネジがなめてしまうと、ツールがうまくはまらないため、ネジを回すことが難しくなります。これは、自転車のパーツの取り外しや組み立てができなくなることにも繋がるため、以下のことに気を付けて、ネジ山がつぶれてしまうのを防止する必要があります。
・ボルトやネジの締めすぎは、ネジの軸であるギザギザ部分がつぶれたり曲がったりする原因となります。このギザギザ部分がつぶれてしまうと、ボルトやネジをいくら締めようとしても、空振りして緩んでしまいます。この状態を、ネジ(ボルト)が「バカになる」と言います。これは、自転車を組み立てる際にパーツの取り付けができなくなることに繋がってしまうので、「なめる」と同様、つぶれないように防止する必要があります。軸のギザギザ部分が曲がってしまうのは、ネジを無理に回そうとするのがほとんどの原因なので、ネジが回らない時は、滑りが良くなるよう、ギザギザ部分に脂を塗るなどして対処するようにしましょう。
「選ぶポイント」でも説明した通り、L字型のアーレンキー(六角レンチ)には、通常のアーレンキー(六角レンチ)の他に、先端にボールポイントが付いた形状のものもあり、このボール部分により、アーレンキー(六角レンチ)を斜めに倒して差し込むことが可能となっています。狭い部分でも工具が周りにぶつからず回避しやすいという特徴がある反面、「ボールポイントつき六角レンチ」は、斜め使用が可能な角度が決まっており、さらにメーカーによってそれぞれ角度が異なるため、注意する必要があります。
今回はツールセット(アーレンキー)をご紹介させていただきましたが、いかがでしたか?
大事なポイントは
ということです。
バイク工具の中で最も使用頻度が高いとされるアイテム、ツールセット(アーレンキー)。トライアスロンは自然の中で行われる大会ですし、レースの距離が長ければ長くなるほど、バイク走行中のトラブルにも見舞われやすくなります。ツールセット(アーレンキー)を一つ持っておけば、さまざまな場面で活用することができるので、ぜひ今回ご紹介したことを参考にして、自分が使いやすいと思う製品を選んでみるようにしましょう。