ロードバイクの機材の中には、「UCI承認」を受けたものとそうではないものがあります。本ページの中でも紹介していますが、UCI承認とは、UCIが公認レースに出場する場合に必要なもの。裏を返せば、公認レースに出場しないのであれば、この承認について気にする必要はないともいえます。
ただし、この承認を得た機材はレース向けのものであるという証明にもなっているので、初めてロードバイクを購入する場合の検討材料とするという手もあります。そのため「UCI承認とはどんなもの?」という点について知っておくのも損ではありません。
まず知っておきたいのが、「UCI承認とは何か?」ということ。
ロードバイクの記事を読んでいると、よく「UCI」というワードを目にすることがあるのではないでしょうか。このUCIとは「国際自転車競技連合(Union Cycliste Internationale)」のことで、あらゆるサイクルスポーツを統括する団体のこと。かつて運営されていた国際自転車協会(ICA)に変わるものとして、1900年6月14日に設立されたという歴史があります。
では、「UCI承認」とは一体どのようなものなのか?というと、今販売されているロードバイクには、このUCI承認を受けたものとそうではないものの2種類があります。UCI承認マークがついていないとUCIの公認レースに機材を使用することができないため、非常に重要なマークであるといえるのです。
2021年3月に更新されたリストを見ると、新たなカテゴリとして「ALL」が追加されています。詳しい説明がなく詳細は不明ではあるものの、おそらく「オールラウンドロードバイク」といった意味合いで使用されているのではないか、と推測されています。今回追加されたものの中には、この「ALL」というカテゴリに属するものもあります。
UCI承認を受けるには、数多くの条件をクリアする必要があります。例えばその中のひとつとして挙げられるのが、「自転車およびその付属品は、スポーツとして自転車を実践するすべての人が使用できるために市販された形式でなければならない。例外に、最初に完成車状態で競技に使用したその9ヶ月後以内に、販売予定のあるバイクはUCIに認可要求が可能(UCI CLARIFICATION GUIDE OF THE UCI TECHNICAL REGULATION 1.3.007より)」というもの。
ちなみに、このUCIでは承認リストを作成していますので、どのような製品が承認を受けているのかは、あらかじめ確認することが可能。UCIのホームページに掲載されていますので、気になる方はチェックしてみると良いでしょう。
それでは、新たにUCI承認リストに追加されたブランド(フレーム)をいくつか紹介していきます。どのようなラインナップになっているのか、ぜひチェックしてみてください。
ノバコローナは日本のブランドであり、チタンフレームに特化した製品を販売しています。他にも高性能なパーツを販売していることで知られているブランドですが、今回トラックフレームが登録されました。非常にコストパフォーマンスに優れているフレームなので、トラック競技を始めたいと考えている方にはおすすめといえるのではないでしょうか。
フレーム名称 |
RAPIDO |
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フォーク名称 |
RAPIDO |
種類 |
トラックレース |
サイズ展開 |
XXS〜M(4サイズ) |
【レビュー】
フレームのカラーは3色展開となっており、ステムの追加購入も可能ですが、色を合わせたい場合にはフレームと同時に購入する必要があるようです(追加購入の場合はツヤありの黒)。基本的には競技者向けの販売となっているものの、プロはもちろんアマチュアや学生でも購入可能。トップチューブの長さはC-Cとなっているので、プラス2cmほど考慮する必要がありますが、具体的には実際に見て確認するのがおすすめといえるでしょう。
パイソンプロは、2002年に創業したブランドです。台湾でフレームを製造した上で、組み上げはデンマークで行っている点が特徴です。同社はデンマークのプロチームへフレームを供給してきた経験もあります。2021年3月に更新されたUCI承認リストには、「STEALTH-D」という名称のフレームが登録されています。
以前、「STEALTH」という名称のフレームが登録されていましたが、当時のカテゴリは「RD(ロード)」、今回の登録は「ALL(オール)」に変更されています。
フレーム名称 |
STEALTH-D |
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フォーク名称 |
STEALTH-D |
種類 |
オール |
サイズ展開 |
XS〜XL(5サイズ) |
【レビュー】
パイソンプロにより提供されているSTEALTH-Dについては、詳細が不明であるという点が実際のところ。ただし、その名称からは前のモデルであるSTEALTHのディスクブレーキタイプと推測されています。 これまでにデンマーク籍のプロチームへの機材提供も行っていたという実績もありますので、品質や性能は確かなものを提供していると考えて良いのではないでしょうか。
トライゴンは、台湾の老舗フレームメーカー。カーボンバイクの先駆者として知られているメーカーです。2021年3月の更新の中に入っていますが、2015年以来の登録となっています。
今回の登録では、「HC01」と「HC01-D」の2種類のフレームが登録されました。カテゴリは「ALL」となっています。
フレーム名称 |
HC01/HC01-D |
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フォーク名称 |
HC01/HC01-D |
種類 |
オール |
サイズ展開 |
XXS〜M(4サイズ) |
【レビュー】
台湾にあった多くのカーボン製品メーカーが中国へ移転する中、いまも台湾に留まり開発・製造を行うトライゴン。それは熟練職人と最高の開発環境があるためといわれています。
同社の「HC01」「HC01-D」もトライゴンの高い技術により開発された製品。HC01はヒルクライムにチャレンジする人に向けて開発した製品、さらにHC01-Dはヒルクライムフルカーボンバイクとして販売されており、ヒルクライムレースに挑戦する人にとってはチェックしておきたい製品といえるでしょう。
ウィアウィスは、韓国の自転車メーカーです。高いカーボン技術を持ち、ロードバイクやフレームを製造しています。2021年3月に更新されたリストでは、「CUL7」「CUL7 DISC」の2つが登録されています(以前登録されたものの更新となっています)。
フレーム名称 |
CUL7/CUL7 DISC |
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フォーク名称 |
CUL7/CUL7 DISC |
種類 |
オール |
サイズ展開 |
XXS〜L(5サイズ) |
【レビュー】
ウィアウィスは、高いカーボン技術を持つメーカーとして知られていますが、これはアーチェリー業界で培った技術を活かしたものといわれています。同社のカル7は、フレーム重量はカタログ値で740g。非常に軽量のロードバイクとなっており、ヒルクライムにチャレンジしたいレーサー向けのモデル。さらに、カーボンプリプレグにグラフェンを加えることにより強度面・振動吸収性についても高い性能を持っている点も特徴です。
UCI承認リストとはどのようなものか、という点について紹介してきました。
自分はレースに出る予定はないと考えている人にとっては一見無関係に見えるかもしれませんが、このUCI承認にどのような意味があるのかを知っておくことによって、新しいロードバイクを購入する場合のヒントになることもあるでしょう。
せっかくロードバイクを購入するのだから良いものを購入したい、と考える方は、ぜひ選ぶ際のポイントとして覚えておくことをおすすめします。